第二回

本当の「リラックス」を知る

前編:健康のために「ストレス」と「リラックス」を理解する

健康のために「ストレス」と「リラックス」を理解する

皆さんは、「ストレス」や「リラックス」という言葉を日々使っていると思います。現代はストレスが社会問題として顕著化したストレス社会です。国は労働者に対するストレスチェック制度を義務化したことから、ストレスケアやリラックス効果をうたう商品も巷に溢れています。都市生活を送る方はとくに、仕事や家事に追われる日常に「ストレス」を感じ、常に「リラックス」を求めていませんか?

しかし、ストレスやリラックスに関する情報があまりに増えたせいで、そもそもこのふたつが起こった時の身体がどんな状態か、きちんと把握している人は少ないのではないでしょうか。ストレス=イライラのように、心の問題としか捉えていない人もいますが、これらを医学的に理解することは、健康を保つうえでとても大切なことです。

そもそもストレスとは、外部からの刺激などに対する「心身の反応」を指します。この刺激には、物理的・化学的なもの(暑さや寒さなど)、生理的なもの(空腹や睡眠不足など)、心理的・社会的なもの(不安・緊張・怒りなど)などがあり、刺激とそれに対する心身の反応を合わせて「ストレス」と呼ばれることが一般的です。

つまり身体の不調や職場のトラブルで感じるイライラやモヤモヤだけでなく、熱い、痛いという体感もストレスです。何かに挑戦した時の苦労や疲労もストレスですが、目標が達成されるとそれはポジティブなエネルギーに変わります。

ストレスには「良いストレス」と「悪いストレス」があり、最初からストレスが全くない状態が「リラックス」なのではありません。リラックスとは「ストレスから解放された後、新たなチャージができる状態」であることが望ましいのです。

真のリラックスには「スイッチ」が必要

情報過多の現代は、健康情報を集め過ぎて逆に不安を高めてしまう人がいます。そこで医療従事者は、不安というストレスを解消するために、エビデンスに基づいた、医学的に正しい情報を提供することに注力しています。

nifuも同じようなアプローチで、リラックスしようと頑張ってしまう人や、リラックス方法の流行に囚われ過ぎてしまう人に対して、身体を芯から温めて心身の緊張を解放する「脱力」という習慣を勧めています。この心身の緊張を解放する「脱力」というスイッチを日常に取り入れることは、ストレスに負けない健康的な身体を維持するうえで欠かせません。

脱力―― つまり身体の力を抜くことは、健全な思考を保つうえでも大切です。なぜなら、人間の脳は、常に同じことを考えがちだからです。さらに不安や不快なことに関しては、いつまでも考えてしまう傾向があります。これは、人間の脳に、トラブル回避の防御策として、物事をネガティブに捉える傾向があるためです。

太古の昔から人類が生きながらえてきたのは、常に食糧難や攻撃に対する不安を抱き、移動や農耕の発想が生まれたからだといわれています。ですから、私たちの脳はそもそもネクラに出来ていると考えてください。人によって程度の違いはあるものの、楽しかったことより嫌な記憶が残ってしまうのは、私たちの脳のシステムなのです。

不安をはじめとするストレスを解消する方法には色々ありますが、医療従事者は、思い込みでストレスを抱えた患者さんに対して、「あなたと同じでも、こんな考え方をする人もいますよ」とアドバイスすることがあります。患者さんが自分になかった考え方を知ることで思考が切り替わり、ストレスが軽減されることがあるのです。

nifuは発酵温浴サロンなのでストレスと関係ないと思われがちですが、心身に不調がなくても健康管理のために定期的に通っている人がいることや、わずか15分の発酵温浴で頭もスッキリしたという人の話を聞くと、発酵温浴に入るというひとときが、ストレス解消へと導くリラックス(脱力)体験になっているのだと思います。(後編に続く)

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